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6年の歳月をかけ、離島で暮らす人々の日常を活写した百々 武写真集『島の力』
初めてお会いした百々武さんは、190センチを超えるかと思うほど背の高い方なのに全く威圧感のない、とてもやさしい印象でした。このやさしい笑顔でその土地に暮らす人々と接し、人や土地の写真を撮って来られたのだと納得できました。 旅が好きな人、旅の写真を撮られる方はたくさんいらっしゃいます。誰でも旅はできますが、旅で人と接してその愛情を感じる人でなければ良い写真は撮れないのだろうと思うのです。百々 武さんの写真にはその愛情があります。今回は、そんな写真家 百々 武さんへ写真集『島の力』のことなどをお伺いするインタビューです。 Q1 「 旅 」は、百々さんにとってどういうものですか? A 高校生のとき沖縄に赴任していた親戚をたずねるため、新品の大きなバックパックを担いで、大阪港より沖縄まで48時間、はじめての船の旅にでかけました。台風が接近していたのですが船は出ました。 意外と込み合う雑魚寝の2等船室。終着が台湾の船でしたので、聞き慣れない言葉を話す人が多く居ました。そのときに漠然と国境を意識しました。高校生の僕の旅情は早くも高まり雨の中デッキに出て小さくなっていく大阪港の明かりを眺めました。出航まもなく台風の影響で船体は大きな揺れにかわりました。重油と排気ガスの臭い。襲ってくる吐き気でビニール袋を手放せませんでした。子供の泣き声で眠れず飛行機に乗らなかった事を後悔しました。しかし、船ではたくさんの旅人たち(年上)に出会いました。海外放浪の話、野宿での失敗談、なんて素敵なんだろうと胸をときめかせて聞いていました。 一人の旅人は沢木耕太郎の『深夜特急』を貸してくださいました。その時、沖縄で体験した青い空、青い海がどこまでも広がっていた風景も残っているのですが、飛行機を選んでいたら随分違っていたように思います。当然帰りも船で帰りました。 星野道夫さんの『旅する木』に、“その日その日の決断が、まるで台本のない物語を生きるように新しい出来事を展開させた。それは実に不思議なことでもあった。バスを一台乗り遅れることで、全く違う体験が待っているということ。人生とは、人の出会いとはつきつめればそういうことなのだろうが、旅はその姿をはっきりと見せてくれた。”とあります。 ここではないどこかへ出かけるプロセスの中での出来事や出会いに胸を躍らせています。港で行き先を変えることもあります。予定は未定な旅。目的地がある訳はなく、どこかで途中を続けているように思います。 旅の写真はいつ頃からはじめられたのですか? 旅=写真という形はいつからですか? A これは写真をはじめたきっかけにもなるのですが高校を卒業するときに就職も進学も考えておりませんでした。父(百々俊二)が写真家で兄(百々 新)も写真をはじめていました。僕は写真に興味がなく、給料がいいからと高校生のときからはじめた土建業のアルバイトを卒業後も続けていました。夏が来てこのままでいいのかな?と考えるようになりスケートボードやパンク(メロコア)に影響を受けていた当時の僕はさらに石川 好の『ストロベリー・ロード』を読んで、じっとしてはいられなくなり、アメリカ西海岸に行ってそういった文化を体験したいと、カリフォルニア州オレンジカウンティにある語学学校の大学に編入できるコースに留学しました。留学生は圧倒的多数がアラブ人。高級車を乗り回す彼らは純粋で食事をおごってくれるので大好きでした。 たまたま訪れた美術館でウィリアム・クライン、リー・フリードランダー、のプリントを見ました。モノクロームで切り取られた街区の写真に心を打ち抜かれました。それから父から借りていたコンパクトカメラで街並を撮ったりしたのですが人物に向けて怖くてシャッターが切れない。撮りたいけど撮れないもどかしさ。それから写真を撮りたいと強く思うようになりました。どこかにでかけることが好きだったのでカメラがあれば出かける理由にもなるだろうと思い帰国しビジュアルアーツ大阪に入学しました。不安と緊張でいっぱいになりながら人に声をかけ撮影させてもらえた時、嬉しかったです。カメラは人と知り合える有効な手段だと確信しました。フィルム現像、暗室でのプリンティング。赤いセーフライトのなか、薬品の中からゆっくり浮かび上がるイメージ。何が写っているのか目を凝らす。快感でした。撮影とプリントを繰り返しました。夏休みと冬休みにカメラを持って撮影旅行。あの大国に戦争で勝った国ベトナムへ。言葉は分からないがカメラを手に人との出会いがあった。むき出しの生活があった。2年時は写真家有元伸也氏の撮影に同行させていただきチベットへ。ここで生きている人がいる。自分は知らないことだらけで世界は広い。こういった体験から海外もいいが日本を歩きたいとも思い、現在に至ります。 東京都写真美術館主催の「日本の新進作家 vol.8 出発」に選ばれた経緯、感想を聞かせてください。 A 2003年よりはじめた日本の離島を巡るシリーズは全く発表することもなく撮影→プリントを繰り返しておりました。今までの写真をまとめてみたいという思いから東京南阿佐ヶ谷の写真家尾仲浩二さんが自主運営されているギャラリー「街道」で2009年1月、北海道の島で撮影した写真展を開催しました。そこに東京都写真美術館の学芸員にお越しいただきました。「面識ないし案内状も送ってないのになぜ??」と思っていました。それから数日後、日本の離島を巡るシリーズを見せてほしいと連絡があり「日本の新進作家展」の企画が「旅」で、このシリーズの出品を決めていただきました。なんとゆうか、膝がガクガク震えました。いつかは美術館での展示ができたらと思っていましたが、こんなに急に訪れるなんて。今までの作業、日本の離島の写真を考える時間がはじまりました。 主に広告写真、ファッション写真を中心に活躍されている写真家(ZIGEN氏)のアシスタントをされていましたが、コマーシャルフォトと旅の写真との違いはどういうところにありますか? 捉え方がまったくちがうものですか? A ほとんどの撮影がスタジオで行われました。光を作り背景を作り被写体を作り上げていく作業。何もない所から作り上げていく撮影は勘や感覚などは通用しない世界でした。そこで技術や仕事をしていくイロハを学びました。当時はポジフィルムを使用しておりました。そこで露出、現像がいかに写真に大事かを叩き込まれました。撮影の仕事以外の日は作品撮影。ダンサー、彫師、ドラッグクィーンなど師匠が出会った方々の撮影。写真三昧の日々。写真のこととフリーランスに必要なことを3年間学ばせていただきました。そしてフリーになり撮影の仕事をしながら日本の離島を撮影しています。作品撮影は何の制約もないので様々な選択肢の中から1つずつ決断し撮影→プリントを繰り返します。撮影仕事の時は制約のなかでカメラマンとして何ができるかを考えます。どんな撮影でも、やり直しが効かないので緊張感があります。違うようで似ていて、似ているようで違いますね。 小説家アーネスト・ヘミングウェイの自伝的大作『海流の中の島々』に感銘を受けられて、写真展名を同タイトルに決められたのですか? A 美しく凶暴な自然、熱のある人間の裏側にある葛藤。ヘミングウェイの『海流の中の島々』に感銘を受けておりました。写真集を制作するにあたりタイトルを決めるのになかなか生まれてこないで苦しんでおりました。『海流の中の島々』は写真集のタイトルにしたかったんですがヘミングウェイ大作のタイトルなので使いませんでした。が、このタイトルをつけて発表したかったので、写真展のタイトルを『海流のなかの島々』にさせていただきました。 書店に自身の写真集が並んでいるのを見た時の気持ちを一言お願いします。 A 学生の頃から写真集を見にきていたアセンスに写真集が並んでいるのを見た時は本当に嬉しかったです。はじめての写真集出版を体験しました。版元の稲田紀男さんのお力添えがあり大変感謝しております。この体験を次回作(出版は未定ですが)に反映させますのでご期待ください。 好きな写真家はいらっしゃいますか? 特に好きな写真集はありますか? A ブルース・デヴィットソン1966年から1968年までニューヨークのハーレムで暮らす人々を大判カメラで撮影された『 East 100th Street 』1970年の初版を専門学生のとき図書室で見て衝撃でした。それから、33年を経た2003年に再版された写真集を購入しました。踏み込むこと、関わることの覚悟、被写体を自分の手法や見方に収めない写真に圧倒されました。 これから撮りたいものは何ですか? 行きたい場所はどこですか A 10年間過ごした東京から2009年春、奈良に拠点を移しました。奈良で育った僕の通っていた高校は電車とバスを乗り継いで1時間の大宇陀高校。学校の近くにあった八咫烏(ヤタガラス)神社、吉野の地酒はヤタガラス、日本書記には神武天皇が八咫烏(ヤタガラス)に道案内をしてもらいます。奈良に育ったが知らないことだらけで、この土地を見てみたいと思うようになりました。そして伝説に誘われるように奈良の南へ。圧倒的な自然、その自然と共に生きる人と八咫烏(ヤタガラス)の伝説を巡る撮影をはじめました。以前訪れたアラスカの地には渡りガラスが人間を創った伝説があります。中国は太陽神が三本足のカラスであったり。さまざまな土地に伝説、逸話があります。今後、カラスを追って出かけて行きます。 百々さんが本をお好きなのもよくわかる興味深いインタビューでした。 旅=写真=小説がリンクして、そこへ屈託のない笑顔で人と接する百々さんのコミュニケーションがプラスされ作品ができあがっていくのですね。 これからの百々さん、八咫烏(ヤタガラス)の写真にも大いに期待できます。 百々武写真集『島の力』 本文174ページ/21.4 x 20 x 1.8 cm 価格¥3,570 ★『島の力:百々武』アセンスウェブページ <百々 武 (どど たけし)> 1977年、大阪生まれ。 1999年、ビジュアルアーツ・大阪卒業 2000年、写真家ZIGENに師事 現在、大阪に在住しフリーカメラマン、ビジュアルアーツ・大阪非常勤講師 百々 武オフィシャルサイト → http://takeshidodo.com
by athens_co
| 2010-06-08 16:58
| 写真家へのインタビュー
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