2007年第33回木村伊兵衛写真賞は、岡田敦写真集『 I am 』と、志賀理江子写真集『 Lilly 』『CANARY』の受賞となりました。
岡田敦写真集『 I am 』は、10代、20代の女性の自傷行為の痕が生々しい写真。彼女たちは、自らが自傷した身体、その痕を撮って欲しいと申し出てきたという。
志賀理江子写真集『 Lilly 』『CANARY』は、さまざまな演出を施し非現実的な、不穏な世界を作り出している。目の奥に容赦なく飛び込んでくる原色の映像。そこにある死。
朝日新聞には、両作品に対して“痛々しいほどに「生と死」を見つめる目を感じさせる”とありました。両作品から受ける「生」のイメージは小さいと感じるが、「死」のイメージが大きすぎることで、「生と死」を見つめる目を感じさせるのだろう。「死」を想うことで「生」が見えてくるのだろう。常に「死」を意識したものでないと撮れない作品なのではないでしょうか。
それにしても、昨年の受賞作の本城直季写真集『スモールプラネット』、梅佳代写真集『うめめ』とは、あまりにも対照的な2作品が選ばれたものですね。